平成十九年大相撲名古屋場所九日目(後編)


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東 方

西 方


大ベテラン対決は、依然幕内を張る力が残っている玉春日が
勝ちました。皇司、前日まで4勝4敗五分の星だったのですが、
また黒星先行・・・・・。一方、玉春日は逆に5勝4敗。

この一番もベテラン対決。34歳、学年も私と同じ海鵬と、35歳の
土佐ノ海の対戦。海鵬はこの場所、二桁10勝を挙げました。
年齢や、小兵であることを考えると、見事の一言に尽きます。もう
一度、上位陣を足技で仕留める『海鵬相撲』を見てみたいです。



塩をまかんとする海鵬。思えばこの海鵬も、長い十両落ちを
余儀なくされながら、不死鳥のごとく幕内に返り咲くのは、見ていて
頼もしい限りです。そして玉春日についても言えることですが、この
海鵬も、あまりいわゆる『学生相撲出身』という雰囲気に、見えない
ような印象を受けます。どちらかというと、中学卒業後入門の、
前相撲からのたたき上げ力士という雰囲気に感じます。

この場所、再入幕だった土佐ノ海も5勝7敗から3連勝して見事
勝ち越しを果たしました。終盤にくると負けが込む場所も目だってい
たことを考えると、この場所の勝ち越しは「まだまだ望める」という
ところを見せたと思います。ただ、この日は勝ったのは海鵬でした。



控えの2力士にご注目。先ほど、土俵入りの時にも隣同士で並ん
でいた北桜と白露山が、再び並んで座りました。そして、またもその
『光る頂点』に目が行ってしまったのでした(爆)。拡大版はこちら

土俵上は、豊響(左)と里山(右)の対戦。立ち合い、当たった瞬間
です。この両者、この場所は全く対照的な成績に終わりました。豊響は
新入幕で見事11勝4敗。文句なしの敢闘賞に輝きました。一方、
幕内2場所目の里山は、実に2勝13敗の大負け。小兵ゆえの辛さも
あるでしょうが、安馬のような力士を目標に、頑張ってほしいと思い
ます。この日の勝負も、勢いの差そのままに、豊響の勝ち・・・・。



さて、当代随一の『サービス精神力士』、北桜土俵上です。いつでも
どこでも、若々しい相撲。もちろん、皇司に次いで年上だなんて、
誰も言いません(笑)。万年青春人生です。

両手をフワーッと広げる、おなじみのポーズ。館内の視線を一身に
集めます。左手には赤いタオルですが、『真っ赤に燃える心』を表現し
ているかのようです。いっそタオルと同じ色の締め込みを新調してみて
はどうでしょう。まだ先は長いんだし、きっと人気は増える(!?)。



いざ豪快な塩撒き。土俵下で錦戸審判が見ていたら最高(笑)。
なかなか塩が放物線を描く姿をよく撮れたと思います。
相手は寶智山でした。拡大版はこちら

善戦およばず。負けて一礼する北桜です。初日から3連勝の好
スタート。この日敗れても白星先行。いけるかと思いましたが・・・・。



この日の向正面解説は、栃東親方でした。生で観戦していると、
当然解説は一切聞けないわけですが、廊下にあるモニターテレビを
見た時に、栃東親方が今日の解説になっていることを確認。周りの
客席からも、「今日、解説栃東だよ。」という声が何回か聞こえました。
その栃東親方ですが、結構ハッキリとその姿を捕える事が出来ました。
この時はマイクをふられてなかったのか、ポーカーフェイスでしたね。
それにしても改めて、七転び八起きの大関人生。お疲れさまでした。

栃東親方も見守る中、黒海が垣添に快勝しました。相変わらずの
ヒゲモジャ力士、黒海。しかし本場所の場所入りの際にサインを
ねだられても、快く応じるフレンドリーな人物です。
垣添は土俵下まで吹っ飛びましたね。



ガップリ四つ胸が合っております、栃乃洋(顔)−普天王(背)の
一番。この両者もこの場所の成績は対照的で、栃乃洋は10勝。
一方の普天王は10敗でした。この相撲も栃乃洋の勝ち。実力者、
いまだ健在ですが、普天王も2年前のこの名古屋で、上位で
二桁、三賞を取ったあの活躍を、思い出してほしいです。

期待の新鋭同士の対戦。栃煌山(左)−鶴竜(右)です。栃煌山は、
勝ち越す可能性も十分あったのに、終盤ケガで休場してしまいま
した。残念。モンゴル出身の鶴竜は、何となく朝青龍を大人しく、
やや可愛らしくさせたような顔に見えます。拡大版はこちら



小手投げ得意の春日王と、いつも強気で闘志ムキ出しの稀勢の里。
立ち合いです。稀勢の里の立ち合いのポーズも個性がありますね。
目下5連勝中の稀勢の里でしたが、この日は春日王にやられました。

中入り後半戦、最初の一番。龍皇(背)−玉乃島(顔)の一番です。
両者成績が鈍い中、勝ったのは龍皇。玉乃島は土俵に這ってしまい
ました。そして龍皇と言えば、何とも同情せずにいられなくなるのが、
前場所、新入幕で14日目までに10勝を挙げながら、三賞受賞者に
決まらなかったことです。「千秋楽勝って11勝目を挙げたら。」という
条件付きとなって、結局敗れて受賞を逃したのですが、新入幕で10番
勝っていて、何でさらに「もう一番勝ったら」となるのか、サッパリ理解
出来ませんでした。過去には9勝でもらった旭道山や、8勝でもらった
霧島といった力士もいるし、龍皇は成績もさることながら、内容的にも
申し分ないものだったので、ホント、与えるべきだったと今も思います。



こちらは、期待の星豊真将と、かつての大関候補筆頭、
若の里の一番。豊真将が完勝し、新旧交代を窺わせました。

東の花道ですが、背中を向けているのは高見盛です。この日敗れて、
1勝8敗と負け越し。高見盛が中日にストレート負け越しを喫した記憶は
ないので、恐らく自己最速タイの負け越し。しかも7連敗。ガックリ
うなだれております。寂しい背中・・・・・。それでも、いやそれ故に、観客
からは健闘を称える温かい拍手の嵐。本当に高見盛は人気者です。
一方、花道奥、高見盛が傷心で引き上げていくその先には、一番の
注目株、琴光喜の姿が見えます。花道奥で精神を集中。気合いを入れ
ています。この時点より、もう戦いは始まっている・・・・・。



琴光喜が、呼び出しに呼び上げられる瞬間です。腰を浮かしかけて
います。そして館内のボルテージは先ずは一発目のピークに。

いよいよ最後の塩です。一度両腕を回して、気合いを入れる。
ここまで全勝。勝てば自己タイの9連勝。負けられません。



塩をまく直前。グッと足元の先を見つめ、
この後、いざ勝負です。拡大版はこちら

対戦相手は豊ノ島。売り出し中の曲者で、春場所には苦杯をなめて
います。しかし相手の両足が完全に浮くほどの凄まじい圧力で、
土俵外に押し飛ばし、快勝。琴光喜、星以上に取り口にも大関を
感じられるようになってきました。拡大版はこちら



私が最もひいきにしている一人、大関・千代大海です。大関在位
51場所。新記録で挑んだこの場所ですが、4勝4敗、しかも前日も
薄氷を踏むような勝利で、予断を許さない状況です。この日の相手は、
これも曲者の安馬。春場所、初日にいきなり土を付けられています。
まだまだ、9〜10勝安住ではなく、優勝も果たして欲しい名大関。
果たしてこの日、4日ぶりの白星先行が成るのか?

こちら安馬も、この場所はちょっと試練。3勝5敗と、黒星が先行
しています。しかしこの小さな体で、2場所連続関脇というのが、
そもそも立派だと感じます。



千代大海、大の得意としているはたき込みで安馬を仕留めました。
相変わらずの引き技戦法。しかしそれで決まるのですから、これも
真似の出来ない技巧と言うべきでしょうか?安馬はつっかえ棒をまとも
に外して、まるでダイビングするかのように両手から土俵に突っ込んで
いきました。「あー!やっぱり大関は巧い。」と思ったのかどうか・・・・。

安馬は土俵上にひざまずき、左手でこぶしを作って悔しがります。
それを大関が上から見て、「まだまだ、こっちに一日の長があるんだ
よ。まあガンバレ。」とでも言いたげな表情を浮かべています。まさに
勝者と敗者、明暗がクッキリ表れたこの表情。拡大版はこちら



代わる土俵は大関対決。魁皇と琴欧洲です。魁皇は、この月に
35歳になるという、類稀に見る高齢大関。しかし、6勝2敗と好調
でした。一方の琴欧洲は、相変わらずの煮え切らない相撲。前日
の、ほとんど同体に近かった千代大海戦はまだ仕方が無いとして、
いつもどうでもいいとこで取りこぼして、大関になってこの方、まとも
に終盤まで優勝争いをしたためしがありません。いい加減壁を破らな
いと、初っ端から10勝大関≠ニいうのは、まだ若いのに勿体ない。

ところで、かつて曙を見慣れていた私ではありますけど、琴欧洲、
身長203cmは本当に高いですよね。こうして魁皇と仕切っていても、
お尻の高さの差が本当によく分かります。まあ何というか、琴欧洲は
窮屈そうですね。少々気の毒にもなったりして・・・・。拡大版はこちら



立ち合いです。魁皇はいきなり左に変わって、琴欧洲の右手を
手繰り、とったり。これで勝負は決まってしまいました。あっさり食う
琴欧洲も琴欧洲ですが、それにつけても大関同士らしからぬ粗末な
内容。館内からも、「ただ勝てばいいってもんと違うんやけどな。」と
いう苦言が、そこかしこで聞こえていました。

さあ、名古屋場所9日目、いよいよ新横綱・白鵬の登場。結び前の
一番です。目下24連勝中。2場所連続中日勝ち越しで、一段と風格も
付いてきました。同じ新横綱なら、朝青龍の時よりも態度にゆとりが
感じられます。本当に初土俵から6年半で最高位に昇進。見事です。



挑戦者は琴奨菊です。関脇も務め、まだまだ勢いは続いてほしい若手
ですが、この場所は4勝4敗の五分。しかし琴奨菊はどちらかというと
スロースターターというか、後半戦にかなり強いというデータがあるので、
今日当たりひょっとするとひょっとすると思ったりもしたのですが・・・・。

挑戦者をグッと睨み付ける白鵬と、「キャッ!見ないで」と両手で
顔を隠す琴奨菊・・・・ってンなわけねエだろが!琴奨菊は気持ちを
集中させるべく、グッと両手を顔の前に寄せ、アゴを引いてクッと
首にも力を入れて仕切っているわけです。拝むような格好ですね。



注目の一戦。勝負が決まった瞬間です。引き技ではありましたが、
横綱が圧力をかけていた分、琴奨菊が股割りのような体勢で
崩れました。横綱の貫録勝ちです。拡大版はこちら

呼び出しが雅山を呼び上げます。いよいよ結びの一番、
朝青龍−雅山戦です。このカードは、私の生観戦の中では2度目
です。1度目は去年のこの名古屋で、その時は雅山は、再大関
昇進をかけた場所でした。



塩をまく横綱・朝青龍と、東前頭5・雅山。雅山は、大関陥落後、
最初に着けていた、若竹色の締め込みに戻っています。上位へ
戻ってきたこの場所、思いを内に込めて土俵に上がります。

立ち合いは雅山が主導権を握ったかに見えました。相手をよく見て
突き上げ、朝青龍は顔がのけぞっています。のどにまともに突きを
食らって、少々慌てている表情にも見える横綱ですが、俊敏に
反応し、勝って2日目から8連勝としました。拡大版はこちら



勝ち名乗りを受けた後の、朝青龍のこのポーズ。熱戦となった後、
相手の雅山の方向を『フンッ!』と睨んでいます。「どうじゃ!」と
言わんばかりのこのポーズも横綱の魅力の一つ。やはり
来年には土俵に戻ってきてほしいですね。

弓取り式は、春場所で皇牙が引退したため、男女ノ里が務めて
います。先代とは対照的な、鮟鱇型の弓取りですね。もう2場所目で、
すっかり習得していました。それにしても、男女ノ里という四股名は、
第34代横綱・男女ノ川を連想させるものがありますね。



打ち出し後、愛知県体育館駐車場前に群がるファンの人々。
名古屋場所はほかの場所と違い、力士の車の駐車場が、この地上の
駐車場になっています。そのため、車で各力士が引き上げるその
一部始終を、こうして直に見る事が出来るわけです。名古屋場所の
一つの特色でもありますが、引き上げる力士を撮影しようと、たっぷり
スペースもある駐車場前にはとにかく黒山の人だかりです。車で
ファンの前を通るさまは、さながら場外編花道のようでもあります。
車窓にはフィルターが貼られているため、中の力士を見ることは殆ど
出来ないのですが、サービス精神のいい力士は、窓を開けて直接
ファンと言葉を交わします。北桜とか、窓を全開にしているのでは?


数珠繋ぎになって、車が引き上げていく様子です。警備員の誘導に
従い、途切れることなく車が発進していくさまは、なかなか壮観でも
あります。天下の幕内力士が乗っているだけあって、大型の高級車両
が多いですね。外車の姿ももちろん、目立ちます。
※上画像をクリックすると、名古屋場所千秋楽観戦記に飛びます。


 以上、平成19年大相撲名古屋場所、9日目のレポートでした。
 今回は・・・・・、本当に申し訳ございませんでした。何がって、50周年記念写真展のコーナーに行くのを忘れたがために、作成意欲が途中で一度途切れてしまい、結果、公開が大幅に遅れました。本来の公開予定日は8月30日で、実際の公開日となった今日9月22日には、千秋楽の観戦レポを公開する予定だったのです。それが、一旦は公開そのものを凍結しようかという気持ちに傾いた後、当サイトをご覧のあるお二人の方から、写真展の画像を寄与、さらには「レポート公開、楽しみにしています。」というメッセージまで頂戴しまして、「ああ、こう思ってくれる人がいるんだ。」と、有り難味をしみじみ感じました。そういう協力者の存在あってこその、今回の名古屋場所レポ公開となりました。
 肝心の、観戦の感想としては、やはり琴光喜が今度こそは本物に化けたな、という印象が、一番強かったです。新横綱と大関王手が同時にいる場所なんて、そうそうあるものではないので、本当に貴重な時期に居合わせたと思っています。


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